スマートフォンの普及によりインターネットは国民の生活に欠かせないツールとなりました。
特に老若男女問わず多くのユーザーが利用しているSNSでは、日々色んな主張、意見が飛び交っています。
SNSの普及につれ、批判や非難が拡散・共有されやすい時代になり、「ネット炎上」という言葉もよく聞くようになりました。
ネット炎上とは何でしょうか?炎上が起こる理由、炎上を起こさないためには何を気をつけるべきなのか、ネット炎上に関しての様々な情報をまとめました。
目次
ネット炎上とは
ネット炎上とは、インターネット上の意見が主導となって特定の対象(企業・有名人・一般人)に非難・批判が集まっている状態のことを言います。
非難・批判が高まることを「燃える・燃え上がる」という現象に例えて生まれた用語になります。
そんなネット炎上の特徴や現状について、さっそく学んでいきましょう。
ネット炎上の特徴
ネットの炎上で出てくる批判・非難全てが正当性を伴っているとは限りません。
またほとんどのケースで、マスメディアを介さずに一般人たちの手によって火が付き、拡散していきます。
よってネット炎上はリアルタイム性が強く、ユーザーたちの一時的な感情を乗せた意見が多く見受けられます。
そのため、ネット炎上を予測することは困難という特徴もあります。
近年では、あえて物議を醸すような話題を発信して関心を高める『炎上マーケティング』という手法も存在します。
詳しくは以下の記事でご紹介しておりますんどえ、ぜひ合わせてご覧ください。
▶手っ取り早い炎上マーケティング!そのメリットとデメリットは?
ネット炎上の歴史~匿名掲示板からSNSへ―
ネット炎上とはTwitterなどSNSの台頭と共にできたものでしょうか?
いえ、違います。
実はネット炎上はアンダーグラウンドながらSNSが普及する前から起こっていました。
匿名掲示板「2ちゃんねる」は2000年代初期から存在しているネット炎上の場の代表としてあげられます。
2ちゃんねるでは企業やタレントの不祥事などが起こるとその事態に関係するスレッドが立ち、利用者たちは連日その事態で盛り上がっていました。
この状態を2ちゃんねるでは「祭り」と呼んでいますが、これがいわゆる現在で言う「ネット炎上」となります。
そして時代は変化していき、2000年代中頃から「ミクシィ」「モバゲー」「グリー」といった若年層をターゲットにしたSNSが登場します。
この3つのSNSの特徴として、掲示板が主体のSNSではないが、SNSの中に掲示板のサービスがあり、そこで「祭り」と同じ状態が起きたという点です。
この時点で携帯でWEBサービスを頻繁に利用する若年層にも「ネット炎上」という事態は日常的に起こっていました。
そして2008年にTwitterの日本版サービスが開始されました。
Twitterとスマートフォンの普及により、実名を伏せたネット上でのやり取りはもはやアンダーグラウンドなものではなくなり「ネット炎上」は瞬く間に社会的に広まったのです。
▶デジタルタトゥーとは?気を付けるべきこと、対処法、事例をご紹介
ネット炎上する原因
なぜネットでの発言は炎上しやすいのでしょうか?
下記の4つの原因・要因について解説いたします。
ネット炎上の原因その1:匿名性
SNSは実名を公開する必要が無く、匿名性が高いサービスです。
匿名性が高くなると責任を持たずに発言をするユーザーが多くなります。
中には根拠のない内容、攻撃性の高い内容を発信する人もいます。
そういった内容は共有されやすいのもネット炎上が起こりやすい原因の一つでしょう。
ネット炎上の原因その2:伝播性
SNSの一つであるTwitterには投稿に対してリアクションが取れる「リツイート」「いいね」「リプライ」等の機能があります。
リツイートは投稿を拡散する機能、いいねは自分が気に入った投稿をブックマークしておける機能、リプライは投稿にコメントができる機能ですがどれも投稿の伝播性を高める機能です。
この中でもリツイートは自分のフォロワーに気になった投稿を見せることができる機能なので特に伝播性が高く、意見を共有しやすくなる機能と言えます。
ネット炎上の原因その3:公開範囲
Twitterはアカウントに鍵をかけない限り、自分の投稿はTwitter内の全ユーザーが閲覧することができます。
検索機能を使えば特定の話題に関してフォローしていないユーザーの意見もすぐに見る事ができます。
このオープンさも意見を共有しやすくネット炎上が加速する理由の一つだと言えるでしょう。
ネット炎上の原因その4:認知的不協和が起こりやすい環境
ネットでは様々な意見を見るだけではなく、企業やメディアがどのような事を行っているかもすぐに確認することができます。
このような環境が認知的不協和を起こしやすくします。
認知的不協和とは、自分の価値観に合わないものに遭遇すると、非常に大きな不快感を持つ人間の性質です。
特に偏見が強い人間ほどこの状態に陥ります。
認知的不協和を逆手に取った炎上商法というものが存在します。
炎上商法ではあえて煽るようなタイトル、投稿をしてユーザーの反応を獲得します。
自分の不快なものを目にしやすい環境、またその反応を逆手に取る商法が「ネット炎上」の件数を更に増やしているのです。
ネット炎上のメカニズム
ここからはネット炎上が起こるメカニズムについて解説します。
ネット炎上は、「発端」「拡散」「炎上」という3段階を経て発生する場合がほとんどです。
ということで、各プロセスについて順番に見ていきましょう。
1.発端
いわゆる「火種」の状態です。
企業・有名人、または特定の個人の不祥事や失言を、あるネットユーザーが発見します。
その発見者が「○○がこんなことを発信している!不愉快だ。」といった主旨を、自分のSNSアカウントやブログに投稿することで火種となるのです。
2.拡散
火種を発見した人々がインターネット上で共有・拡散します。
主にTwitterなどで共有されることが多いですが、リツイートや引用リツイート等は、1人が10人に、その10人が1000人にとねずみ講式に広まっていきます。
ネット炎上の特徴としてリアルタイム性を挙げましたが、この拡散の段階で更に新たな情報や火種が追加されることも多いです。
3.炎上
拡散された事件はSNSや掲示板にとどまらず、ニュースサイトなどに掲載され更に認知されるようになります。
SNSや掲示板と違いニュースサイトは情報が残りやすいので、批判や非難の声は余計に大きくなります。
またこの段階までくると、ネット炎上がインターネットの範疇を越えて広まってしまい、TVや新聞、雑誌等のメディアに取り上げられてしまうというケースもあります。
ネット炎上が起こりやすい話題
ここからは、近年のネット炎上の実態について学んでいきましょう。
ネット炎上が起こりやすい4つの項目について解説いたします。
非常識・いたずら
最近、バイト先での度の過ぎたいたずらに関するニュースを良く目にします。
このような明らかに批難されるであろう内容は勿論ネット炎上の火種になります。
失言・不祥事
企業、有名人、更には一般人まで。
失言の場はメディア、ネットなど様々です。
企業のCM・広告
企業のCMや広告もネット炎上の火種になります。
批判の内容は「CMが不快」でということであったり「ある企業の広告が差別的な内容を含んでいる」というものです。
企業のCMや広告は特に色んな人の目に触れるので拡散されやすい火種だといえます。
誤作動・誤爆
特にTwitterに多い例です。
有名人や企業が公式のアカウントと個人のアカウントを間違えてしまった例です。
公式マークがついたアカウントのはずなのに特定の人物の悪口を言っている…変なツイートをいいねしている…など失態の種類は様々です。
大手企業や有名タレントなどフォロワーが特に多い公式アカウントだと沢山の人々に失態を見られるので炎上に繋がりやすいです。
炎上しないためには?
それではネット炎上を起こさない為にどのような事に気を付ければいいのでしょうか?
気をつけるべき3つのポイントについてご説明します。
1.公開範囲を考える
TwitterやInstagramではアカウントを非公開にすることができます。
これは自分が許可したフォロワー以外に自分の投稿を見せないようにする機能で、自分の投稿を見知らぬ第三者によって火種にされることを防ぐことができます。
2.迂闊な発言・誹謗中傷はしない
匿名性が高いと自分の発言に責任を持てず、思わず迂闊な発言をしてしまった他人が不快に感じる誹謗中傷をしてしまいがちです。
特に炎上に首を突っ込み、誹謗中傷投稿したところ、それが新たな火種になる…といった例も珍しくありません。
いかなる時も自分の発言には責任を持てるようにしましょう。
3.投稿前に発信する内容を確認する
上と似ていますが、投稿する前に自分が発信する内容を一度確認してから投稿するようにしましょう。
特にその投稿で自分が不利益を被らないか、自分だけではなく他人の足を引っ張るような内容ではないかを考えましょう。
炎上した後はどう対応すれば良い?
気を付けてはいても何が火種になるかわからないのがネット炎上です。
万が一ネットで炎上してしまった際に取るべき行動をまとめました。
1.落ち着く・冷静になる
炎上した後はすぐに何か行動しようとしがちですがそれは良くない行動です。
ユーザーに「その場しのぎ」と判断されてしまえば更なる炎上を呼ぶ可能性もあります。
まずは落ち着いて対策を考えて下さい。
2.安易に発言を消さない
一般私人の場合は、個人情報等を保護するためにも速やかに削除するのが望ましいとされますが、企業のアカウントや公人・著名人に関しては安易に発言を消すのはNGです。
というのも事態が広まりだしてから削除することで、隠蔽とユーザーに判断される可能性が高く、逆に火を大きくしてしまう可能性が高いからです。
削除する前に、その後の対応や解決策をしっかり定めておきましょう。
3.謝罪も慎重に
炎上してしまった後、特に信用が第一である企業は一貫した態度が求められます。
対応がユーザーの声によって二転三転してしまうと信用性に大きくかけ、その後の業績に深くダメージを負わせる可能性があります。
事態を落ち着かせることに焦点を当てるより先に信頼を取り戻し、誠実な対応を心がけましょう。
ネット炎上を取り扱った作品
インターネットが普及するにつれ、ネットリテラシーを啓蒙する作品が多くなりました。
その中でもネット炎上を取り扱った作品を紹介します。
白ゆき姫殺人事件
ツイッターが大好きなワイドショーの契約ディレクター・赤星がある事件を捜査する。
赤星がツイッターで事件についてつぶやくと沢山の反応が返ってくる。
そしてそこから得た情報を投稿し、さらに反応を貰い捜査に躍起になる赤星。
ネット上では既に加害者が仮定されており、加害者とされた城野美姫は激しく世間から糾弾されネット炎上の餌食となる。
勿論赤星も城野が犯人だと仮定し取材を進めていくが….
SNSの声によって事件の真相から遠のいてしまう話です。
ネット上で真実とされる事がいかにでたらめか、そんなネット世界に警鐘をならすミステリー小説です。
3年A組-今から皆さんは人質です
SNS「マインドボイス」にとあるフェイク動画を流されネット炎上の餌食となった生徒・景山澪奈が自殺した。
その半年後、景山の担任である柊一颯は生徒を人質にとある計画を企てる。
柊一颯の行動にマインドボイスユーザーの反応は二転三転、真実を求める声は大きくなり更なる炎上を呼ぶが…
ネットの世界で与えられた情報を鵜呑みにし、安易に発信する人々の迂闊さ、軽率さが描かれているドラマです。
ネット炎上の実態|まとめ
ネット炎上とはネット上の意見が主導となって特定の対象に非難・批判が集まっている状態です。
ネットは火種が燃え広がりやすく、またネットニュースなどに残ると非難され続けるのも特徴です。
そしてネット炎上は人々の感情を乗せた意見が飛び交うので、炎上による世論が正しいとは限りません。
ネット炎上を防ぐには軽率な発言をしないことが何よりも大事です。
SNSやブログなど、自分から何かを発信する際は自分の発言に責任を持つように心がけましょう。
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